お子さんが「睡眠時棘徐波活性化を示す発達性てんかん性脳症およびてんかん性脳症(CSWS、EE/DEE-SWAS)、「ランドウ・クレフナー症候群(LKS)」発病後に抱える負担は、精神的にも肉体的にも非常に大きいです。
多くのお子さんに共通してみられる発達後退は、昨日までできていたことが突然できなくなり、保育園や幼稚園、小学校、中学校での生活にさまざまな支障をきたしています。検査やお薬調整のため、長期の入院を余儀なくされ、お子さん自身はもちろんのこと、きょうだいやお仕事など家庭への影響が出てきます。
発達が日々後退していく特異な状況は周囲に理解してもらうことが難しく孤独を感じることも少なくありません。
2024年8月、同じ悩みを抱える仲間で「CSWS患者家族会」を立ち上げました。
同じような経験をしている家族の存在が大きな支えになっています。
家族会に登録しているお子さんの地域と年齢層
小学生世代が多いですが、発症年齢や経過はお子さんごとにさまざまです。
「小児期のてんかん」と言われることが多いですが、成長してからも学習や注意、言語、社会的スキルなどに影響が残ることがあります。
子供の頃にCSWS/LKSと診断された方、治療が終わって経過観察を続けている方、寛解された方も大歓迎ですのでご連絡ください。
現在、年中さんから高校1年生までのお子さんを持つ34家族が登録しています(2025年12月現在)
| 東北地方 | 青森県 | 1 |
| 関東地方 | 茨城県 | 2 |
| 群馬県 | 1 | |
| 埼玉県 | 2 | |
| 千葉県 | 4 | |
| 東京都 | 6 | |
| 神奈川県 | 6 | |
| 中部地方 | 長野県 | 1 |
| 静岡県 | 2 | |
| 近畿地方 | 三重県 | 1 |
| 滋賀県 | 1 | |
| 大阪府 | 1 | |
| 中国地方 | 山口県 | 1 |
| 四国地方 | 高知県 | 1 |
| 九州地方 | 福岡県 | 1 |
| 熊本県 | 1 | |
| 鹿児島県 | 1 | |
| 海外 | ドイツ | 1 |
| 保育園/幼稚園 | 3 |
| 小学生 | 28 |
| 中学生 | 2 |
| 高校生 | 1 |
| 成人 | - |
| 睡眠時棘徐波活性化を示す 発達性てんかん性脳症および てんかん性脳症 | 31 |
| ランドウ・クレフナー症候群 | 3 |
CSWSでは、診断と治療に睡眠時脳波検査(終夜ビデオ脳波検査)が必須となるため、小児検査に対応できる病院は限られています。
そのため、ほとんどのお子さんが各地のてんかんセンターで治療を受けているのが現状です。
現在参加しているお子さんが治療を受けている主なてんかんセンターは以下の通りです。
患者数が非常に少なく、インターネットや書籍でも得られる情報が限られています。
特に、思春期を迎えCSWS特有の脳波が消失したあとの発達の見通しや将来についての情報がほとんど無く多くのご家族が「この先どうなるのか分からない」という不安を抱えています。
実際に思春期を迎えて脳波が改善しても、高次脳機能障害が残るケースがみられます。
発症の背景や脳波異常の影響の受け方には個人差がありますが、高次脳機能障害こそがこの疾患における最大の課題といえます。
私たちCSWS患者家族会は、同じような経験をしているご家族とつながることで、不安や悩みを一人で抱え込まないで少しでも前向きになれる場を目指しています。思春期を迎え脳波が改善したから終わりではなく、その後の生活や将来についても情報を共有できる会でありたいと考えています。
お子さんがCSWS/LKSと診断されて「他の患者さんの様子を聞いてみたい」と思ったら、どうぞお気軽にご連絡ください。
CSWS特有の脳波は思春期になると消えると言われていますが、現在、家族会員の中で脳波が消失したお子さんはまだ3人しかいません。
そのため、実際に脳波が消えたお子さんの治療体験談をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひお話をお聞かせいただけると嬉しいです。
ご連絡をお待ちしています。

現在は、家族会限定のLINEグループを中心に情報交換を行っています。
発作のコントロールが難しく、不安や心配を抱えながら参加されているご家族も多く、特別な活動はできていません。
同じCSWSのお子さんを育てるご家族と出会える機会はとても限られているため、つながれるだけでも安心できることがあります。どうぞ気軽にご参加ください。
※有志のボランティアで運営しており、入会金や年会費などの費用は一切かかりません。

入会希望の方は、患者家族会申し込みフォームにて申し込みをお願いします。

「CSWS患者家族会ご案内」と「規約」をメールで送りますので内容をご確認ください。

内容を確認し同意いただける場合には、お送りしたメールに返信してください。

メールにて家族会限定のLINEグループに招待します。
家族会にてCSWSが終息した2症例を紹介します。症例①②ともにCSWS発症前に知的障害はありませんでした。
家族会としてお伝えしたいこと
CSWS(DEE-SWAS / EE-SWAS)は、発症年齢や背景、治療反応、回復の過程が非常に多様な疾患です。
回復は直線的ではなく、良い時期と立ち止まる時期を繰り返しながら進むことも少なくありません。
ここに紹介した症例は、こうした経過をたどることもあるという一例です。経過や予後には大きな個人差があり、すべてのお子さんに当てはまるものではありません。現在治療中のご家族が、将来を考える際の参考のひとつとして受け取っていただければと思います。
成育歴:正常出産・生後先天性心疾患と診断
主な症状:言語・理解の停滞、行動面の変化 など
主な治療:抗てんかん薬調整/ステロイド治療 など
脳波の推移:睡眠時の高度な棘徐波活性化 → 徐々に改善 → 消失
現在の状態:寛解(経過観察中)
てんかん発症からCSWS診断・改善までの経過
3歳8ヶ月:初回発作
4歳3ヶ月:てんかんの診断
5歳10ヶ月:知的機能退行、多動症状が現れる
6歳3ヶ月:CSWS診断。以後、内服薬調整では多剤服用も改善せず 知的・運動機能退行、多動症状改善せず。異常脳波は主に前頭葉に出現
7歳4ヶ月:IQ低下により知的障害と診断
8歳4ヶ月:全脳梁離断手術(効果あり)知的・運動機能の退行が止まる
8歳10ヶ月:CSWS再発
11歳11ヶ月:最終発作 多動症状は改善
13歳4ヶ月:脳波初見が改善(CSWSの活動性は低い状態と判断)。脳波の改善と共に様々な機能に改善がみられる
14歳4ヶ月:てんかん寛解(内服加療中)
現在の脳波の状況:24時間脳波にて、spike2回
効果がみられた内服薬:なし(診断書より)
その他治療
ミダゾラム持続静注:初回のみ効果あり(2回目効果なし)
ステロイドパルス:初回のみ効果あり、以降脳波に変化なし
免疫グロブリン:効果あり
内服治療
テグレトール・ダイアップ・エクセグラン・エピレオプチマル・セレニカR・イーケプラ・フェノバール・ラミクタール・マイスタン・ダイアモックス・リボトリール・トピナ・プレドニン・メンドン・ビムパット・トピラマート・アマンタジン・デパケン・バルプロ酸 / 抑肝散・インチュニブ・エビリファイ・リスペリドン
特性
知的障害あり
発達障害あり、協調運動障害、ADHD(CSWS発症後に診断)
高次脳機能障害あり、注意機能障害、遂行機能障害、失語症
麻痺あり
学校歴
特別支援学級(小1~小4)
特別支援学校 小学部 中学部 高等部
成育歴:正常出産・正常発達中、4歳10か月感冒症状・皮疹後、川崎病
主な症状:発語の後退、集中力の低下、行動の変化 など
主な治療:抗てんかん薬調整/その他の治療 など
脳波の推移:睡眠時異常波の持続 → 改善に時間を要した → 安定
現在の状態:寛解(フォロー継続中)
てんかん発症からCSWS診断・改善までの経過
4歳11ヶ月:初回発作で中心側頭部に棘波を持つ小児両性部分てんかんの診断
6歳6ヶ月頃:知的、運動機能退行確認、発作増悪
6歳9ヶ月:失語・日中の非定型欠神が重積し、非定型欠神重積、球麻痺症状も出現。日常動作も困難となり、大学病院紹介、CSWSの診断
7歳4ヶ月:内服調整にやや効果みられ、最終発作
7歳7ヶ月:発作が消失したため、手術適応なしとの判断
7歳9ヶ月:シンメトレル内服開始。効果あり
8歳3ヶ月:睡眠中の棘徐波出現率が60%に(CSWS診断基準を下回る)
8歳4ヶ月:脳波所見はさらに改善し50%に(CSWSの活動性は低い状態と判断)
現在:異常波あり(内服加療中)
現在の脳波の状態:閉眼時・睡眠前にspikeあり
効果がみられた内服薬:シンメトレル・ビムパット
その他治療
ミダゾラム持続静注:効果あり
ステロイドパルス:効果一時的
免疫グロブリン:効果なし
内服治療
イーケプラ・セレニカ・リボトリール・エクセグラン・オスポロット・ラミクタール・デパケン・ベンザリン・エピレオプチマル散・マイスタン
特性
知的障害はないが、正常時よりIQは低下。後遺症で学習障害。
発達障害なし
高次脳機能障害あり
麻痺なし
運動機能は回復し、スポーツテストはA判定
学校歴
通常学級(小1~)
高校は受験にて普通科に進学